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遺産相続についての基礎知識~手続きや期限、トラブル防止策など~

家族が亡くなった場合、考えなければならないことの1つに遺産相続があります。頻繁に経験することではないので、どのように対応すれば良いのか詳しいことがよくわからないという方も少なくないでしょう。そこで本記事では遺産相続に関する基礎知識として、手続きの流れや期限、トラブル防止策など、具体的なハウツーを解説します。

相続財産の分類

相続を行うためには、まずどのような財産がいくらあるのかを把握しなければなりません。相続財産はいくつかの種類に分類されます。まず1つが金融資産です。現金や預金、有価証券など直接お金の形で残っているものはこれにあたります。次に不動産です。土地や建物などのことで、借地権など不動産に権利が付随しているケースもあります。このような権利も財産です。不動産以外の財産は動産です。例としては車、貴金属、骨董品、家財などが挙げられます。ほかには著作権や特許権など、故人が有していた各種権利も財産としてカウントされます。

なお、相続の対象となる財産はこのようなプラスの財産だけではありません。故人が有していた債務も相続対象になります。相続をする場合、プラスの財産のみを相続し、マイナスの財産を放棄するということはできません。プラス・マイナスまとめて相続するか、まとめて相続放棄するかのいずれかを選びます。

相続の種類

相続の方法は大きく3種類に分けられます。まず1つは、遺言書による相続です。故人が生前残してた遺言書の記載に基づき、遺産を分配する方法です。2つ目は、法定相続。被相続人が亡くなった場合、誰にどのくらい財産が相続されるかは法律でも定まっています。優先順位としては、遺言書の内容が最も重視されますが、もし相続人が遺言書の内容に不服があるなら申し立てを行い、法定相続分を請求することができます。3つ目は遺産分割協議です。法定相続人で協議し、遺産の分割内容を決める方法です。

相続人の範囲

相続を考えるときには、相続人は誰なのかを明らかにする必要があります。相続人には「法定相続人」と「受遺者」の2種類があります。法定相続人は、法律によって相続人と定められている人のこと。具体的には故人の配偶者と血族です。配偶者は基本的に必ず相続人になります。血族は優先順位が定められています。第1順位が子、第2順位が両親など直系尊属、第3順位が兄弟姉妹です。その順位に該当する人が全くいないときに限り、次の順位に相続の権利が移ります。また、同じ順位の相続人が複数いる場合は、全員に分配されます。法定相続の割合は誰が相続人になるのかで異なるため注意が必要です。相続人が亡くなっている場合はその子が代襲相続人として相続を受けることができます。

受遺者は遺言書に記載された相続人のことです。法定相続人であるか否かは関係ありません。なお、未成年が相続人になる場合は代理人を立てる必要があります。成人の親がいる場合は親が法定代理人となれますが、親も子も遺産分割の対象者であるなど、事情がある場合は特別代理人を選定します。

相続手続きの流れと期限

故人の死亡届を提出したときから相続が発生します。故人の生活上のさまざまな支払いや利用状況などを明らかにし、整理するところから遺産相続の手続きは始まります。保険金の請求などがある場合は速やかに行いましょう。どのような財産が残っているのか調べ、また誰が相続人になるのかを明確にする必要があります。遺言書が残っていないかどうかも確認してください。財産全体がはっきりしたら、相続人は相続を受けるか否かを決めます。相続放棄を行う場合は、相続が発生してから3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きを行わなければなりません。また、必要に応じて故人の確定申告も行います。これは相続が発生してから4ヶ月以内です。

さまざまな整理が終わったら、次に具体的な遺産の分配に入ります。遺言書がある場合は遺言書に則り、ない場合は遺産分割協議などを行って財産を分けます。分けた後は各財産の名義を相続人に変更するなどの手続きが必要です。なお、相続を行うと相続税が発生するので、納付を忘れないように気を付けましょう。相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10か月後までです。

相続の際によくあるトラブル事例と防止策

相続はお金が絡むこともあり、揉めたりトラブルに発展したりするケースが少なくありません。例えばよくあるトラブル事例として、特定の相続人が財産を多く相続することを主張するなどがあります。ほかの相続人がその主張を認めるなら問題はありません。ただし、法定相続人であれば法律上定められている遺留分を受け取る権利があるため、ほかの相続人が納得せず揉める可能性があります。このようなトラブルの防止策としては、法律のプロである弁護士を挟みながら遺産分割を行うなどが挙げられます。また、相続人だけで揉めないよう、被相続人が存命なうちに遺言書を残してもらうというのも防止策の1つでしょう。

また、相続の手続きが終わった後にさらに財産が見つかるというトラブルもあります。また相続人同士で分割をどうするか決めなくてはならないので2度手間です。また、借金などマイナスな財産の場合、相続放棄は相続が発生してから3ヶ月までが期限なので、見つかったときには既に放棄できない状態であるパターンも考えられます。このようなトラブルが発生しないよう、相続の始めの段階で財産の調査はしっかり行いましょう。

遺産相続はしっかり段取りを組みながら行おう

遺産相続が発生した場合、やらなければならないことが多数あります。ただし、1つ1つはそこまで難しい手続きではありません。しっかり段取りを組み、期限を意識しながら進めれば完了させられるでしょう。また、わからないことやイレギュラーなことが発生したら弁護士などに相談するのも1つの方法です。ぜひこの記事を参考にしながら、遺産相続の流れを具体的に考えてみてください。